タイでは鶏は鳥じゃない? タイ人に聞くと、ほぼ100%「鳥じゃない」と返ってきます
日本人に「鶏は鳥ですか?」と聞けば、ほとんどの人が迷わず「鳥です」と答えると思います。ところが、タイ人のちゅうちに事前の打ち合わせなしで聞いてみると、返ってきたのは「鶏は鳥ではない」という答えでした。
私が「鳥鶏テスト」と呼んでいるもの
私はこれを個人的に「鳥鶏テスト」と呼んでいます。タイ人の知り合いや友達がいる日本の方は、ぜひ聞いてみてください。「鶏は鳥ですか?」と聞くと、ほぼ100%、「鶏は鳥じゃない」という答えが返ってきます。日本人に聞いたら、ほぼみんな「鳥」と言うと思います。日本語では漢字に「鳥」の字が入っていて、肉も「鶏肉」と言うので、鳥の代表選手のような感じさえします。
簡単な言葉なのに、理解は全然違う
面白いのは、日本人は「鶏はもちろん鳥でしょう」と思い、タイの人は「鶏は鶏でしょう、もちろん鳥じゃないでしょう」と思っていることです。鶏や鳥のような簡単で基本的な言葉なのに、理解が全然違い、しかも違うと気づく機会も少ない。調べてみると、ラオスなど周りの国でも、中国語でも、鶏と鳥は別のカテゴリーに入っているそうです。
タイ語の「นก(ノック)」が指すもの
日本語の「鳥」は生物学的な鳥類のイメージですが、タイ語で鳥にあたる「นก(ノック)」は、必ずしも同じ意味ではありません。タイ語を勉強した日本人が、最初のほうに習う言葉の一つです。鶏は「ไก่(ガイ)」で「นก(ノック)」ではなく、アヒルも「นก(ノック)」ではないそうです。翼はあるのに、「นก(ノック)」でも「ไก่(ガイ)」でもないのです。
仮説は2つ、外を飛んでいるか、食べるために飼っているか
私の仮説は2つあります。外を飛んでいるかどうか(例外はあります)と、食べるために家で飼っているかどうかです。田舎で食べるために飼っているなら、鶏やアヒルは外の鳥とは別のカテゴリーとして出てきているのではないか、と考えました。ちゅうちからは、たぶんタイ人は「นก(ノック)」は食べない、という話が出ました。ไก่(ガイ)とアヒルは食べるけれど、「นก(ノック)」は基本的に食べないそうです。日本語にすると「鳥を食べる人はいるかな」という問いになり、その時点でとても不思議な感覚がします。
言葉の後ろには、その土地の暮らしがある
言葉として面白いのはもちろん、よく考えると、背景にある生活や文化が見えてきます。こんなにシンプルで、ずれなさそうな話ですら、これだけずれています。鳥ですらずれるのだから、もっと抽象的な話で理解がずれるのは仕方ない、と思えます。これは、タイ人の分類がおかしいとか、日本人の分類が優れているという話ではありません。考え方の違いが、言葉や文化に出ている一例です。普段のコミュニケーションでも、こうした微妙なずれは起きているのかもしれません。
タイ語やほかの言葉で、日本語と区切り方が違っていて驚いた言葉はありますか。
このシリーズでは、日本人の私とタイ人のちゅうちの2人で、日本やタイの文化や考え方について考察を深めています。どちらが良い・悪いという話はしません。
出演: 藤岡諒/ちゅうち 運営: Michi & Co., Ltd.(バンコク)