靴下は服と一緒に洗わない? タイ人にとっての足
日本人向けに書かれたタイのマナーや文化、働き方の本を見ると、どの本にも必ずと言っていいほど「足に気をつけて」と書いてあります。タイの人は足を汚いものと捉えているので、人に足を向けないように、という注意です。旅行や赴任の前に読む本では定番の話ですが、それが実際にどれくらいの感覚なのかは、本を読むだけではなかなか分かりません。
そこで今回は、タイ人のちゅうちに、タイでの足のイメージを聞いてみました。最初に返ってきた答えは「汚い」でした。日本人も足をそれほどきれいだとは思っていないかもしれません。ただタイでは、その感覚よりもはるかに強く、足が汚いものとして捉えられていることが多い気がします。
足先を向けると「嫌だなぁ」
話の途中で、私は試しに足を組んで、足先をちゅうちのほうへ向けてみました。すると返ってきたのは、「嫌だなぁ」という一言でした。本で何度も読んできた話は、やはり実際の感覚でもあるのだと分かりました。
なぜそこまで汚いと感じるのかも聞いてみました。ちゅうちの考えでは、昔は靴を履かずに歩いていたので、土がついて汚れていたからではないか、ということでした。私は、頭がとても大事にされている分、その反対にある足は低く見られるのではないかと考えていました。ただ、それは考えすぎかもしれません。ちゅうちも、理由ははっきりしないけれど、汚いという感覚そのものは確かだと話していました。
靴下は服と一緒に洗わない?
人をまたぐ話にもなりました。日本でも人をまたぐのはあまり良くないとされますが、タイのほうが、足に対する抵抗感はずっと強いように感じます。ちゅうちは子どものころ、ドアを足で閉めたり、扇風機のボタンを足で押したりして、よく怒られていたそうです。扇風機のボタンを足で押すのは私も普段やっているので、聞きながら思わず「やべえ」と声が出ました。
その感覚は、洗濯の仕方にも表れていました。ちゅうちは高校のときまで、靴下をほかの服と必ず分けて洗っていたそうです。理由を聞くと「汚いから」とのことでした。日本に行ってからは、ほかの服とまとめて洗うようになったそうです。
一方、私の家では家族の靴下もまとめて洗っていましたし、日本人の友達にも、靴下だけを分けて洗う人は私の知る限りいません。タイで一人ひとりに聞いたわけではありませんが、靴下を分けて洗うのは、タイでは少なくとも珍しい話ではなさそうです。
バスマットは、雑巾と同じくらい
足に対する感覚がいちばんよく表れていると私が感じたのは、バスマットです。足が乗るものなので、ほかの服と一緒には洗ってほしくない、という話は以前から聞いたことがありました。ただ、バスマットはシャワーを浴びたあとに乗るものなので、物理的にはそれほど汚れていないはずです。
百歩譲って、靴下なら、一日履いていれば汗で実際に汚れているとも言えます。それでもちゅうちに聞くと、バスマットは雑巾と同じくらい汚いものだという答えでした。実際の汚れというより、気持ちの面から来ている部分が大きいのではないかと思います。
本では定番の「足に気をつけて」という注意ですが、実際の感覚としてはこれくらい強いものなのだと、今回の話から少し見えた気がします。バスマットを分けて洗うのがおかしい、と言いたいわけではありません。タイの人と一緒に働いたり暮らしたりするときには、足はそれくらいのものだと思って、少し気をつけてもらえればと思います。たとえば仕事中、近くに座っているのについ足を組んでしまい、隣の人がびくっとしたら、「おっと、ごめんね」と一言かけたほうがいいかもしれません。
それほど汚れていないバスマットまで、なぜ服と分けて洗いたくなるのか。皆さんはどう考えますか?
このチャンネルでは、日本人の私とタイ人のちゅうちの2人で、日本やタイの文化や考え方について考察を深めています。どちらが良い・悪いという話はしません。
出演: 藤岡諒/ちゅうち 運営: Michi & Co., Ltd.(バンコク)